せっかく治療した歯の詰め物が取れた!そのメカニズムとは? kiki DENTAL|美容診療コラム

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せっかく治療した歯の詰め物が取れた!そのメカニズムとは?

虫歯などで歯を削った際、その部分に金属やプラスチックなどで詰め物をします。この詰め物はインレーとも呼ばれます。インレー(inlay)は、はめ込むという意味を指す言葉です。治療費を支払い、痛い思いをし、ようやく歯に詰め物をして治療終了…と思いきや、わずか数年で歯の詰め物が取れた!という経験は、意外と多くの人にあるのではないでしょうか?

そこで、なぜ詰め物は取れてしまうのか、その原因とメカニズムを分かりやすく解説していきます。

詰め物にも寿命があるだなんて…

歯医者さんのホームページを調べてみると、詰め物は生涯にわたり使えない場合があり、寿命もあるのだとする記述が多いことに気づきます。

保険が適用されリーズナブルに治療できる詰め物は、銀歯と称される金属製のものと、歯科用プラスチックであるレジンの、主に2種類となります。これらの寿命は、歯医者さんによって見解は異なるものの、短いことに3年から10年と見られているようです。また、歯医者さんによってレジンの方が長持ちする、銀歯の方が長持ちする、と意見はさまざまであり、どちらがいいとは分かりにくいようです。

ただし、詰め物自体の寿命は長いのです。詰め物自体が割れたり穴が開いたりして寿命になってしまうということは、あまり目にしません。しかし、歯から外れる、取れてしまうことによって寿命となるのです。

では、なぜそれほど簡単に外れてしまうものなのでしょう?

詰め物に使う接着剤とは…

土木の仕事やアルバイトをした人なら分かると思うのですが、コンクリートブロックやレンガを積み重ねていく際には、モルタルを接着剤に使います。

モルタルとは、セメントと砂を水で溶いたものです。モルタルをブロックの間に塗りこみ、ブロック同士をしっかりと接合。風や雨にも耐えうる建造物が建てられていきます。

これと同じ要領で、歯の詰め物にはセメントが接着剤として使われます。

接着ではなく、合着をしています

ただし、厳密に書くと詰め物と歯は接着しているのではなく、合着をしています。

合着と接着の違いを説明します。

詰め物と歯の間にセメントを塗ると、セメントは詰め物や歯の細かい凹凸に入り込んでから固まっていきます。これを合着と言います。

接着の場合は、接着剤と接着される材料との間に、化学的な結合が起きています。空気に触れることによる酸化や炭化により、化学的な変化が生じるのです。接着剤の表面の分子と、接着面の表面の分子が互いに結合を求め、接着していきます。

詰め物が外れてしまうメカニズム

詰め物と歯は、合着によって結合しています。しかし詰め物は、周りの温度によって微妙に膨張をしたり収縮をしたりしています。

学校の理科の授業で、熱膨張というものを教わったことはないでしょうか?例えば、お茶の入ったペットボトルを冷凍庫に入れると、お茶が膨張して凍るので、ペットボトルが膨らみますよね?これも、熱膨張によるものです。

水やお茶ほどではありませんが、金属も温度により膨張・収縮します。すると、凹凸の中で合着していたセメントが、破壊されてしまうのです。

歯医者さんによっては「年月を経て接着剤が劣化するので詰め物が外れてしまうのだ」と分かりやすく説明していますが、正しくは劣化でなく破壊であると言えるでしょう。

 

虫歯の原因にもなります

なお、この膨張により、詰め物と歯の間に隙間の生じることがあります。その部分の歯磨きを怠ると、虫歯となります。これを二次カリエス、または二次う蝕(うしょく)と呼びます。

詰め物をしているのになんでその奥が虫歯になっているの?と怒り出す人もいるかも知れません。こうなる前に、詰め物には寿命があるのだとはじめから頭に置いておくといいでしょう。

なお、詰め物が歯科用プラスチックであるレジンでも、考え方は同じです。レジンも膨張・収縮するので、セメントの破壊が起こり得ます。

自由診療で取り扱いのあるセラミックは人工の石材であり、金属よりも膨張率が低いという特徴があります。保険の適用がないため治療にかかる費用は高くなりますが、頻繁に取れてしまい付け替えの必要が生じるものより、長い目で見るとリーズナブルであると言えるかも知れません。

接着できるセメントもあります

合着する従来のセメントに加え、接着を可能とするレジンセメントも歯医者さんで使われています。

レジンセメントは、レジンというプラスチックの樹脂成分を含んだものです。これを歯へ塗る前に、プライマー、ボンディングと呼ばれる薬液を塗り(塗らない場合もあります)、わざと細かい凸凹を作っていきます。その上にレジンセメントを塗りセラミックの詰め物を埋め込みます。こうすることによって、しっかりした接合が可能となります。

歯にフィットしやすいのは金(ゴールド)

金属製の詰め物が多用される理由として、加工しやすい点が挙げられます。そして、金属の中でも金は柔らかいという特徴があります。したがって歯の形に隙間なくフィットするように加工できるので、金をおすすめする歯医者さんは多くあります。

また、金属アレルギーの恐れがある方でも、金には反応しない場合があるようです。金は金属の中ではイオン化傾向が少ないため、体内に吸収されることが少ないことが原因と考えられます。

ただし、詰め物で使われる金は純金ではなく、ほかの金属との混合である場合も多く考えられるので、しっかり歯医者さんと相談してみるのが望ましいでしょう。

また、これも保険の適用されない自由診療となります。そして、金は目立ちやすいため奥歯に使われることが多いようです。

いずれにしても、隙間がなければ、それだけ虫歯になる可能性が低くなるということ。長持ちする詰め物を見つけるヒントになりそうですね。

 

医師の技量で詰め物は取れない?

ここまでさまざまな材質とその特性を解説してきました。しかし、医師の技量によって詰め物の寿命は上下するのだ、とする見解も見受けられます。

 

・歯をきちんと削る

・歯型をきちんと取る

・歯科技工士がきちんとフィットする詰め物を作る

 

これらにより、レジンや金属製の詰め物でも長持ちしやすくなる、逆に技量がなければセラミックでもすぐに取れてしまうなど、さまざまなケースが考えられるようです。

歯をきちんと削る、そして歯型をきちんと取るということは、すなわち接着面をしっかり確保するということです。接着するための十分な面積を計算できれば、セメントを厚く塗る必要がなくなり、膨張・収縮が起きても詰め物が取れづらくなることが考えられます。

まとめ

詰め物をした部分に虫歯が発生する、詰め物が取れてしまうなど、予想もしないことが発生する仕組みが分かりました。何しろ、歯の中に人工の異物を埋め込んでいるのです。そのように考えれば、これらのことも不思議ではなくなるかも知れません。

また、ようじなどで詰め物が取れてしまったとする人も見かけるのですが、それはあくまでもきっかけであり、そこに至るまでにはこのような流れがあるのだとお読みいただければ幸いです。

  • 監修医小久保 和彦
  • 医院名:インプラント・再生医療センター HD.CLINIC 八幡木歯科医院
  • 住所:埼玉県川口市八幡木1-22-8
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